徐々に平地になり、常磐道をくぐり、常磐線を渡ったら、そこはR6。
空は暗くなり始めている。もう16時だ。
かれこれ3時間以上山の中を走ってしまったらしい。
ちょっと無茶しすぎたかも。でも無事に降りてこられたからいいか。
実家に寄ろうかどうか考えながら南下していく。
東京までは160km。軽く計算してみると到着まで8時間は掛かる。
実家に寄ってしまうと2時間以上タイムロスしてしまい
今朝体験した極寒茨城をもう一度体験することになってしまうため
まっすぐ帰ることにする。
それにしてもR6はどこ走ってもアップダウンだらけで萎える。
日立市内で7時間ぶりにローディを見かける。なぜかホッとする。
そして、気が付けば白いクロスが後ろにつけてきていた。うざい。
俺のほうが長距離走って疲れてるんだから引けよ、と思いつつもちぎる。
が、信号待ちで止まっていたところを先に行かれる。
さっさと先に行ってくれればよかったのだが、すぐに追いついてしまう。
ペースがあまりに違いすぎるので抜き返すとまた付いてくる。うざい。
ペースを乱されるのも癪なので結局水戸市手前まで引いてしまった。
気付けばすっかり夜。
GPSの電池も残り少なくなってきているため
電池を買うべく、18時30分、ケーズデンキ水戸本店にて屋内休憩。
トイレを済まして手を洗いながら鏡で顔を見ると、目が真っ赤。
何の病気ですかって聞きたくなるくらい充血している。
普通のメガネで走っているので風を巻き込んでしまうからだろうけど
それにしてもひどい。そろそろサングラスデビューかな。
GPSの電池交換をしながらお茶を飲み温まる。
そして長居は無用とばかりに出発。
太陽が沈むと急速に冷えるのを体感しながらR6を南下し続ける。
疲労と寒さで萎え萎えになってきたので石岡でまた休憩。
振り返ってみれば食事らしい食事は山の中でおにぎりを食べたきりだったので
またおにぎりを買って食べる。
そして帰りまでの道程を暖かく帰るために10枚入りホッカイロを購入。
コンビニの外でホッカイロを貼りまくる。
靴下、手袋、背中、首周り、と合計6枚を貼る。多少は効果ありの模様。
ただ、外でこんなことをやっていたため、通りすがりのおばちゃんに
「おにいちゃん、こんな寒い日に外でなにやってんの?風邪ひいちゃうわよ」
と呆れられる。うん、俺もそう思う。
そして出発。
ホッカイロパワーにより快適。
ただ、補給不足での失速が怖くなってきたので
21時過ぎに牛久のマックで再度食事休憩。
ハンバーガー2つを食べる。1,000kcalオーバー補給完了。
膝の冷えが少し気になっていたので、ここにもホッカイロを貼る。
ここからは2時間くらいで帰れるはずなので無補給で走りきる。
利根川を渡り、細かいアップダウンを何回も渡って、江戸川を渡る。
江戸川近くの温度計では5度と表示されていた。
昼間の山の中と同じ気温らしい。やはり東京は暖かい。
というわけで、無事に福島県から帰還。
02:00?翌00:30と全行程22時間30分で382kmを走りきった。
東京?名古屋であれば24時間以内で走れることの証明になろう。
初の冬季ロングライドということで、
寒さを多少舐めていたところもあったが
身を持って体験することでわかることってあるからね。
さて、次はどこへ行こうか。
【旅の記録】
総走行時間: 16h11m
総走行距離: 382km(記録更新)
獲得標高: 3,702m(記録更新)
平均心拍:129bpm
消費カロリー: 6,215kcal
実家の前の農道から北に向かって旧水府村を走る。
高校のころに組んでいたバンドのメンバーが水府村出身だったので
何度か遊びに行ったことがあるが、その頃からほとんど変わっていないんじゃなかろうか。
山間の村って感じだ。
山田川沿いの県道を北に進む。

山田川の水はこんなに澄んでいていたのか。小魚がよく見える。

GPSナビに従って横道に逸れたらこんなところだったり。
こんな自然に囲まれて育ったわりに田舎暮らしが嫌いなのは何でだろう。
このまま北に進みすぎると大子町に行ってしまうので
R461にぶつかった所で東に進みR349を目指す。
R461を少し走ってからルート取りの失敗に気付く。
地元民のくせに知らなかった俺がいけないのだが、
狭い峠道で車が簡単にすれ違えないのに交通量が多い。

国道なのにこんな道なのかよorz
背後の車を気にしながら上る。
後に調べたところによると、ここは酷道だった。
標高にして330mくらいまで上り、下る。
下りもまた狭い。
こういう道は自転車のほうが速いため前走車にすぐ追いついてしまう。
で、ここでやってはいけない人生初の経験。
対向車に詰まって急ブレーキを掛けた車に・・・オカマ掘ってしまったorz
幸いにも車、自転車、そして俺に傷は無かったわけだが
ぶつかって後輪が浮いたときには頭の中が一瞬白くなった。
で、無事?にR349に入りまた北上。
一部旧道を通りながらも県境を目指す。北風と緩やかな上りが続く。
ここでこの
ツーリングで初めてのローディと遭遇。
反対車線を5,6人でトレイン組んで下っていた。
しかし、ここから先しばらく自転車を見ることはなかった。
ハンガーノックにならないように、手持ちのビスコを食べたりしながら
ゆっくり走っているうちに福島県との県境である明神峠に到着。

峠?って感じのまったり具合に物足りなさを感じつつ記念写真。
「うつくしま、ふくしま」。「彩の国さいたま」と並んで好きなキャッチフレーズである。
因みに茨城は「漫遊空間いばらき」らしい。
ゴロが悪いし覚えにくい。考え直していただきたい。
気温6度。昼間でもこの寒さ。
残念なことにここから先に見えるのは下り坂。
意を決して下り始める。案の定、寒い。
徐々に道が悪くなり、狭くなる。
周りの山々を見渡すが、紅葉の季節は過ぎたっぽい。
とりあえず目的である福島への入県は果たしたので、これからどうするか考えながら走る。
そして、R118とぶつかった辺りのコンビニで初の食事休憩。
思えば出発からここまでまともな食事を取ってなかった。
とにかくハイカロリーなものを、と選んだのは大盛ペペロンチーノ。
これだけで1,000kcalオーバー。あと、栄養ドリンクで元気の前借り。
そして補給用のおにぎりを背中のポケットに。
コンビニの外でパスタを食べながら地図を見て次の目的地探し。
一度しっかり寝たおかげで、結構元気。
ここで無謀にも太平洋側への阿武隈高地横断ルートを決めてしまう。
R349で北茨城市近くまで行き、そこから花園渓谷を抜けてR6へ戻る。
距離にして50kmはあろうか。しかも花園渓谷過ぎるまでずっと山の中。そしてこの気温。
手持ちのGPSには地形図が入っていないためどれだけ登るのかもわからない。
でも、一度自転車に乗ってしまうと正常な判断ができなくなってしまうのよね。
12時30分。進路を東に取って進み始める。
いつからこんな無謀な人間になってしまったのだろう。
自分にあきれながら人気の無い山道を走る。
宝坂という地名を目にしてほどなく、道はつづれ折に。
目の前に見える山を上らなければいけない模様。
上りきって見るものの、すこし下った先には上り坂。
これを上れば・・・という淡い期待を裏切るように
上って、少し下ったら、また上る、下る、上る。が繰り返される。
そう、ここは高地。山一個超えるのとは違うのだった。

先日行った奥武蔵グリーンラインと似た感じの山道。
こういう系の山道は道程を知らないと中ダレしてしまうので正直好きじゃない。
とはいっても引き返すのも癪なので進む。
道中唯一の補給ポイントかもしれない温泉施設を通り過ぎ
車の往来もほとんど無い山道を寂しく走り続ける。
R349から離れて県道に。ほどなく北茨城市の案内板が。

時計を見れば14時。いつの間にか茨城県に戻ってきたわけだが、
正直こんな山の中では帰ってきましたって感じはまったくしない。
ふと路肩に視線を移すと日陰部分では氷張ってるし。
移動距離200kmを超えてからの山道は初体験。
とにかく足が売り切れないようにクルクル回しながら進んでいく。
お腹が空いてきたのでコンビニで買っておいたおにぎりを食べる。
取り立てて景色のいい場所でもない普通の退避スペースにベタ座りでかぶりつく。
通り過ぎるドライバーから好奇の目で見られるが関係ない。
やっと全ての上り区間が終わり、いよいよ下り。
林道を少し下っていくと花園渓谷が。

紅葉の時期を過ぎた感があるがそこそこ観光客はいる模様。
いやー懐かしい。高校のとき遠足で来たぶりだ。
そのときは渓谷を歩いて上っていったのだが、30を過ぎた今は自転車で下っている。
なんとなく覚えている景色を目にして懐かしむ。
のだが、渓谷沿いの道は完全日陰。水場そばということもあってか激寒。
しかもずーっと下り。体感温度は完全にマイナス値。今朝以来のガクブル状態の再来。
渓谷区間を抜けたところで自販機を見つけて緊急避難。
幸いにも日向だったため靴を脱いで足を暖める。
ここでもMAXコーヒーを飲む。やっぱり甘い。
しかし休んでいる間に太陽がみるみる山に飲まれていく。
とっとと降りることにする。
もうちょっと?続く。
今年の夏から突如始まった、「日帰り
脱関東プロジェクト」。
10月初旬に山梨へ行った後辺りから仕事が忙しくなり、
思うように計画を立てられないまま季節は冬へ。
さすがに冬は長距離
ツーリングは休止かなと思っていたが
久しぶりに3連休を取れたので、多少の不安はあるものの
今年最後のチャンスとばかりに福島へ行ってきた。
いつものごとく仕事が終わってから
ツーリングの準備を始める。
自転車をメンテナンスしたりしているうちに1時を過ぎる。
そろそろ家を出なくてはならないが、天気予報によると今期一番の寒さらしい。
上半身は化繊長袖インナーと裏起毛長袖ジャージ、ウィンドブレーカー。
下半身はレースタイツと厚手の靴下。
ウィンターグローブとイヤーバンドとシューズカバーを追加装備。
以上を着込んで、23日2時に家を出発。
走り始めてすぐにいつもと違う乗り心地に気づく。
その原因はタイヤ。すごいモッチリしてる。
路面に吸い付くような、でもそれでいてスイスイ進む感じ。
Pro2Raceいいかも。
走り始めに少し寒さを感じたものの、それ以降は体も温まり快適に走り続ける。
予定よりちょっと早く茨城県に入る。
ここらへんからちょっと風が気になり始める。ちょい強めの西風。
北風に変わらないことを祈りつつ土浦を越えて
顔面に寒さを感じるようになってきて今回はじめての休憩を取る。

時計を見ればまだ5時前。ペース的にはいい感じ。
MAXコーヒー(激甘?い)を飲んで温まったところで出発。
が、一度止まってしまって冷えた体はそう簡単には温まらず
体感温度も(間違いなく気温も)ガンガン下がっていく。
寒さで体の末端部分に痛みを感じてくる。
とくに足のつま先。シューズカバーも役立たず。
一応最低気温の下調べはしておいたが、茨城の夜は予想外に寒かった。
(そもそも茨城北部出身なのだから知っているはずなのだけど)
我慢しながら走り続け、R6を離れ千波湖へ向かう道に入る。
空は徐々に明るくなってきてもうすぐ朝だということを告げるが
体は芯まで冷え切ってしまったようで体が震えてくる。
駐車場に止めてある車のフロントガラスが白く凍っているのを見て気持ちが萎える。
で、もう走るのはムリ?。となる直前で千波湖に到着。
予定では休憩するつもりはなかったが、寒さに負けて立ち寄ることに。
石岡以来久しぶりに自転車から降りるが足のつま先が痛くてまともに歩けない。
よちよち歩いて座って休憩できる場所を探し、
自販機で買ったお茶とMAXコーヒーでつま先を温める。
顔を上げると太陽が昇るところだった。

僕がブルブル震えているのを横目に早朝ランナーたちが走り去っていく。
けっこう年配者が多い。みんな元気だ。すこし元気をもらう。
あんまり外で休憩していても意味が無いので、つま先の感覚が戻ったところで出発する。
次は常陸太田にある実家。ここもまた予定では寄らないはずだったが
寒さによる体力の消耗を考えてちゃんと休憩する必要があると考えた。
ならば実家だったらただで休めるな、と。こたつもあるだろうし。
念のため連絡を取ろうとするも電話に出ず。7時前だからしょうがないか。
R349で常陸太田に入り、田んぼ道で実家に帰宅。
途中、十数年ぶりに山田川の堤防を走ったが、きれいなCRになっていた。
で、実家到着。

実家の庭に自転車を止めて家に入ろうとしたところで一台の車が外を通り過ぎる。
母親の車だ。まさにすれ違い。今の親子関係と同じか、と自嘲する。
玄関を開ける。田舎なので鍵は掛かっていない。
父親と母親は仕事で、妹は寝ているようだった。
ただ、飼い猫だけは出迎えてくれた。
とりあえずコタツに入り温まる。この世の天国なり。
新聞を読んだりしているうちに爆睡。
9時まで仮眠を取るつもりが10時近くまで寝てしまう。
妹の鼻歌で目が覚める。俺の存在には気付いていないようだ。
状況を察するに風呂に入るところだったようなので挨拶はせずに家を出た。
だれにも気付かれずに家に入り家を出たことになる。
実家なのにちょっとした不法侵入気分。
続く。